漆塗りシャーボは'90年に生産が打ち切られたが、求めるファンが後を絶たないゼブラの傑作。
漆塗りのシャーボをご存知だろうか? あのゼブラが'77に発売を開始して以来、変わらぬ支持を集めてきたシャーボである。漆調のシャーボは、もともと「大人の筆記具」として開発された為か、あるいは漆の格調に合わせた為か、価格も漆級で、5千円と8千円という高額が設定された。いくら漆とはいえ、今でさえボールペンとしては高額だ。漆の風合いは十分に生かされていたようで、生産が中止された90年以降も根強い人気を博し、「漆調のシャーボ」だけはプレミアム付きで取引がされている。漆塗りのゼブラシャーボは平均して約1万3千円程度が取引価格になっている。
漆塗りシャーボにゼブラはどんな思いを込めたのだろうか。漆の持つ色褪せない光沢か、あるいは、しっとりとした漆の質感だろうか。
漆シャーボを見ればわかるけれど、漆とは実に多様な用途・効果が知られている。ゼブラ漆調シャーボのように筆記具の柄の部分に用いたものも多いが、頭に浮かぶのは輪島塗などの食器類ではないだろうか。漆は極端な乾燥・強烈な紫外線などさえ気をつければ、漆を塗布した表面は艶やかさを持続し、また効果的な自然のコーティング剤として漆本来の役目を果たす。漆が皿や盆、あるいは漆塗り箸、漆塗り椀などに多く用いられてきたのは、地材料である木材への水分の浸透を抑え、同時に漆の艶やかさによって食を彩るのが目的だという。
漆独特の手触り感も忘れられない。つるりとしているようで、しっとり感も十分に醸し出すのだ。
漆が筆に使われれば、それは漆本来の美しい光沢を放ちながら、且つ、しっとりとした手触り感で書き手に応える。この漆の洗練された性格が、漆調シャーボをゼブラが開発した動機だと言われれば納得がゆく。漆塗りシャーボ、少々高くとも生涯の愛筆となる貴重な筆記具である。
漆を使ったシャーボには、実は2種類あるという。ひとつは、本当に漆を塗布したシャーボだ。これが漆シャーボの本家。例の5千円・8千円というのはこちらの漆シャーボの事だ。もうひとつは、漆調シャーボ、こちらは漆塗りの特徴を研究し尽くして生まれた模倣作である。ただし、そこはゼブラのやる気も漲っていて、確かに「漆シャーボの風合い」は十分なのだ。こちらも生産は終了しているが、やはり、それなりの値段では取引されている。
漆塗りシャーボを仮に1万5千円で買ったとしても後悔はないと断言するのが、漆シャーボ愛好家達である。漆シャーボの場合、15年から20年は使えるのだという。無論、劣化はある。ただし漆シャーボの凄いところは「漆塗りのボディだけは劣化が極めて少ない」という事。つまり、漆シャーボは、漆が劣化しないので書き味というか指先に伝わってくる感覚が変わらないというのだ。ペン先や先端の金属部分は当然に傷むし、細かな傷も入る、でも漆シャーボのボディ部分は10年、15年経っても確かに風合いは変わらないのだ。